今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 D生殖補助医療(ART)
【黄体補充】
80.体外受精時の黄体補充の方法について教えてください.注射以外の方法でも問題ないのでしょうか.
原田 省
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1鳥取大学医学部生殖機能医学
pp.584
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102069
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体外受精・胚移植周期においては,大多数の例でGnRHアゴニストが用いられている.したがって,下垂体からのLH分泌は抑制されており,黄体機能低下が懸念される.GnRHアンタゴニストの場合についても使用期間はアゴニストに比較して短いが,下垂体機能抑制による黄体機能不全への対策を必要とする.Human chorionic gonadotropin(hCG)は黄体賦活のために用いられるが,補充療法とは異なるのでここでは触れない.
プロゲステロン(P)の投与経路は前述のように,経口投与,筋肉注射,腟坐剤の3種類がある.PrittsとAtwood1)によるメタアナライシスでは,Pの筋肉注射と腟坐剤が比較された5つの無作為化比較試験が取り上げられている.合計で891例のART周期の検討では,Pの筋肉注射は腟坐剤に比較して有意に妊娠率が高かった.しかしながら,筋肉注射は油性製剤であることから疼痛が強く,発赤などの副作用もあり,頻回の投与は敬遠されている.
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