特集 着床
胚の子宮内膜への侵入
内田 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室講師
pp.49-54
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.03_0049-0054
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「Summary」ヒト着床において,子宮内膜上皮に接着した胚は上皮細胞層というバリアを破壊して,その先の内膜間質に到達する必要がある。これまでの研究からその機序には子宮内膜上皮細胞の細胞死のほかに効率的な細胞運動が関与していると考えられる。また,破壊された子宮内膜上皮細胞層は細胞増殖による再構築が期待されるが,これらの細胞運動・細胞増殖は胚・子宮内膜上皮細胞・間質細胞の3者による巧妙なクロストークによって支えられていることがわかってきている。「はじめに」ヒト着床の胚と子宮内膜組織との相互作用は,便宜的に対峙(apposition)・接着(adhesion)・侵入(invasion)・陥入(penetration)の4段階に分けて解説されることが多い(図1A)。前項の「胚と子宮内膜との接着・相互作用」に引き続き,本稿では胚が子宮内膜上皮細胞層を通過し,間質組織へと浸潤していく過程におけるこれまでの知見から示唆されている代表的な制御機構と,細胞動態につき概説する。「Key words」着床,細胞死,細胞運動,EMT,HDACI
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