症例
外陰がんと鑑別を要した乳頭状汗腺腫の1例
長治 誠
1
,
延本 悦子
1
,
今福 紀章
1
,
伊原 直美
1
,
清水 健治
1
1鳥取市立病院産婦人科
pp.93-97
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101951
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症例は39歳,未経妊・未経産.2005年5月頃より左外陰部腫瘤に気付いていたが,放置していた.2006年1月頃より次第に腫瘤の増大を認め,同年2月に当科を受診した.初診時,後陰唇後連左側に周囲組織との境界明瞭な,小豆大の硬く緊満した腫瘤を認めた.同部の擦過細胞診では悪性像は認められなかったが,組織診で高分化型腺癌あるいは乳頭状汗腺腫が疑われた.内診・超音波検査で子宮後壁に4 cm大の筋層内筋腫を認める以外に異常所見は認められなかった.また,両鼠径リンパ節の腫大は認めなかった.外陰部腺癌が疑われたため,消化管を含めた諸検査を施行したが,異常は認めなかった.2006年2月下旬,外陰部腫瘤の診断で小豆大の腫瘤を切除した.組織検査で乳頭状汗腺腫と診断された.術後,現在まで再発は認めていない.乳頭状汗腺腫は多様な組織像を呈することもあり,腺がんとの鑑別が困難で誤診する可能性があり注意が必要である.
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