今月の臨床 卵巣癌診療の最新情報
【卵巣癌治療の最前線】
3.胚細胞腫瘍の治療戦略
長井 裕
1
,
青木 陽一
2
1琉球大学医学部附属病院周産母子センター
2琉球大学医学部器官病態医科学講座女性・生殖医学分野
pp.1303-1309
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101876
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
卵巣悪性胚細胞腫瘍は,発生頻度が全悪性卵巣腫瘍の5%以下と比較的稀な腫瘍であり,多くは10~20代の若年層に発生し,悪性度はきわめて高い1, 2).化学療法(化療)が行われるようになる以前には,進行例のほとんどが死亡していたとされている3).この30数年の間に,VAC→PVB→BEPと化療が発展してきたため,本腫瘍の予後は著しく改善した.このような,本腫瘍に対する治療の進歩は,「腫瘍治療学における真のサクセスストーリーのひとつである」とまでいわれている4).有効な化療が開発された今日では,若年者における本疾患の治療は,妊孕性の温存に十分配慮した手術を行い,術後早期に標準的化療であるBEPを行うことが基本となっている4~8).
本稿では,昨年(2007年)改訂された「卵巣がん治療ガイドライン」,その後のupdateされた文献から,本疾患の治療戦略を中心に,また当科の治療成績について述べる.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.