今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
III 婦人科癌治療
【子宮体癌】
2.子宮体癌における手術術式は?
塩沢 丹里
1
,
小西 郁生
2
1信州大学医学部産科婦人科学教室
2京都大学医学部婦人科産科学教室
pp.590-593
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101749
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1 はじめに
子宮体癌は近年わが国で著明な増加傾向を示している.子宮頸癌の多くはI期癌であり,手術を中心とした治療法で比較的良好な治療成績が得られている癌種である.しかしながら,一口に手術療法といっても広汎子宮全摘術や傍大動脈リンパ節郭清術なども含む多岐にわたる術式が施行されてきている.この理由として,手術療法の適応とその根拠に関して確かな文献的証拠が乏しいうえに,わが国と比較して放射線の効果を高く評価する傾向のある欧米との考え方の違いもあり,各施設がある程度試行錯誤的に対応してきた面があると考えられる.こういった状況に対応するために,2006年に日本婦人科腫瘍学会より子宮体癌治療ガイドラインが出版された.本稿のテーマである体癌の手術術式に関しては,多くの議論を経てガイドラインとして見解が示されており,またその背景や問題点についても詳述されている.しかしながら,これらの見解が十分な学問的論拠にもとづいて確立されているものではなく,今なお多くの議論の余地を残していることはガイドライン自体に記載されている通りである.
本稿では,体癌の手術における問題点に関し,ガイドラインの記載内容を了解事項とし,ガイドラインで引用されている論文が2005年までであるので,主にその後の新しい文献を中心に紹介する.
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