今月の臨床 臨床遺伝学─診療に必要な最新情報
遺伝カウンセリングの実際
4.胎児異常
澤井 英明
1
1京都大学大学院医学研究科社会医学系専攻遺伝カウンセラー・コーディネータユニット
pp.1165-1171
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101568
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はじめに
産科診療において胎児異常がみつかった場合に,その診断と治療・管理自体が重要であることはいうまでもないが,適切な診断と治療・管理を行い,妊娠経過の全体を見通した診療を行うためには遺伝カウンセリングは不可欠である.また,明らかな胎児異常はみつかっていないが,超音波検査や母体血清マーカー検査などで胎児異常の存在する可能性が高いことが示唆される場合,遺伝カウンセリングが対応の中心となることが多い.妊娠週数によってはこの対応いかんで,夫婦の十分な理解がないままに人工妊娠中絶になったりすることもあり得るので,より慎重な対応が望まれる.そしていずれの場合でも,遺伝カウンセリングにおいてはその妊娠のみならず,将来の妊娠や家系全体への影響などに内容が及ぶこともあり,こうした場合には複雑な多面的な内容を1つ1つクライアント(対象となる妊婦と夫,家族など)とともに解決していくステップが要求される.
もちろん産科診療における遺伝カウンセリングはそのほかの領域の遺伝カウンセリングと本質的に異なるものではないが,その重要性からいくつか留意すべき特有の点がある.
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