今月の臨床 妊娠中の偶発症候─産科医のプライマリケア
症候への産科プライマリケア
6. 悪心・嘔吐
関 博之
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
pp.1286-1289
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101293
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はじめに
妊娠中の悪心・嘔吐は妊婦の50~80%にみられ1),通常この状態をつわりという.厳格な定義ではないが,つわりのうち数%は重症化し,電解質や酸─塩基平衡の異常,体重減少,ケトーシスや肝,腎,神経系の臓器障害をきたしたものを(重症)妊娠悪阻と呼ぶ.つわりは妊娠5週くらいから発症し,妊娠16~20週ごろまでに軽快する.しかし,稀ではあるが妊娠後期まで悪心・嘔吐などの症状が持続する場合があり,この場合ほかの疾患との鑑別が必要となる.悪心・嘔吐の原因を表12)に示す.表1に示す疾患のなかで,化学療法や放射線療法による悪心・嘔吐,心因性の悪心・嘔吐などの鑑別は比較的容易であるが,そのほかのものはつわりないし妊娠悪阻との鑑別が必要となる.
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