今月の臨床 妊娠中の偶発症候─産科医のプライマリケア
症候への産科プライマリケア
1. 発 熱
松田 秀雄
1
1防衛医科大学校産科婦人科
pp.1263-1267
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101288
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はじめに
高熱を主訴とする妊婦を診察する際には,まず「発熱」なのか「高体温」なのかを明らかにする必要がある.そして発熱ならば,(1)妊娠の有無にかかわらず高熱をきたしうる疾患に妊娠中に罹患した可能性(高熱からときに重大な合併症が発見されることがある),(2)妊娠に伴う免疫能の変化に由来する症候である可能性(特にウイルス性の熱性疾患は妊娠中に典型的な経過をとらないことがある),(3)妊娠による生理学的・解剖学的変化によって惹起されやすい疾患の可能性(妊娠中に特有の呼吸器系・尿路系の疾患が存在する),を注意深く考慮することが求められる.また,治療に際しては,胎児に対する影響を考慮することはもちろん,妊娠中の罹患により母体が重篤な転帰をとりかねない疾患に対しては迅速な対応が求められることも留意すべきである.
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