- 有料閲覧
- 文献概要
1 診療の概説
避妊薬としてのOCは混合型OCといわれ,卵胞ホルモン(エストラジオール : E)と合成黄体ホルモン(プロゲストーゲン : P)との合剤であり,1960年に米国食品医薬品局(FDA)で初めて認可されて以来,世界中で9,000万人以上の女性に服用されている.この間,OCの避妊効果を維持しながら健康で快適な生活を送れるようにとホルモン含有量の低用量化が行われ,1錠中のEの含有量を50 μgとした中用量OCの開発,ついでEの含有量を50 μg未満とした低用量OCが開発された.これに伴い,Pも新しい種類の開発,低用量化および服薬の工夫が行われ,世界の各国では多種の低用量OCが日常使用されている.現在,中用量OC は不妊症やホルモン異常などの治療薬として,低用量OCは経口避妊薬として世界的に使用されている.
低用量OCのEはすべてエチニルエストラジオール(EE)を用いているが,Pには3種類あり開発の順番により,ノルエチステロン(NET)を用いたものが第一世代,レボノルゲストレル(LNG)を用いたものが第二世代,デソゲストレル(DSG)を用いたものが第三世代のOCと呼ばれる1).Pには,弱い卵胞ホルモン作用と種々の程度の黄体ホルモン作用,男性ホルモン作用が認められる.黄体ホルモン作用の比較は何を指標にするかによって若干異なるが,表12)に各種Pのそれぞれのホルモン作用の強さの相対値を示した.
そのほか,低用量OCにはOCを21日間服用して7日間休薬し,その休薬期間中に消退出血(月経)が起きるという21錠タイプのものもあれば,服薬忘れを避けるために休薬期間も7日間プラセボ錠を服用する28錠タイプのものもある.また,一相性OCと段階型OCという種類もあり,一相性OCとはEとPの配合比が一定の一種類のOCを21日間服用するものであり,段階型OCとは二相性と三相性の2種類があるが,二相性OCとは後半の11日間はPの含有量が多くなっており,三相性OCとは3段階にホルモン配合比の異なるOCからなっている1).また,服用開始を月経開始から最も近い日曜日から始めるサンデーOCと月経初日からスタートするDay 1 OCがある.
しかし,1999年に本邦で承認されたOCは11社から10品目,一相性2種類,二相性1種類,三相性3種類の計6種類であったにもかかわらず,2002年11月現在,市場にあるのは,諸事情により三相性OCのみである.また21錠タイプ,28錠タイプはあるものの,第一世代と第二世代だけのOCとなっているため,同じ製薬会社から21錠タイプと同じ種類の28錠タイプも販売できるようになったOCも含めると,6社から9品目,2種類のみが市場にある(図1).
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.