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Althusiusらは,一連のCIPRACT(頸管無力症予防無作為化頸管縫縮術研究)の1つとして,妊娠27週未満で開大した外子宮口から突出した胎胞がある23例(単胎妊娠16例,双胎妊娠7例)を対象に,緊急頸管縫縮術の有用性を検討した(緊急McDonald頸管縫縮術と臥床13例,臥床のみ10例).その結果,胎胞が開大した外子宮口から突出している頸管無力症例に緊急頸管縫縮術と臥床を採用すると妊娠34週未満の早産が有意に減少することが示唆された(表1)(AJOG 187 : S86, 2003).
ワシントン大学のRidgewayらは,1998年1月から2002年7月に第2トリメスターで頸管の変化(頸管開大または頸管長短縮)がある49例を対象に行った緊急頸管縫縮術後の分娩時妊娠週数に影響を与える因子を後方視的に検討した.頸管無力症の疑いの既往歴で行った予防的頸管縫縮術は研究から除外した.その結果,多胎妊娠と子宮口から突出する胎胞は分娩時妊娠週数の低下と関連がある,頸管縫縮術施行の成功率に影響する因子(頸管開大と頸管短縮)は異なる,妊娠24週以降に分娩となった例では予防的抗生物質と子宮収縮抑制剤使用は妊娠週数延長と関連しないことが示唆された(表2)(AJOG 187 : S130, 2003).緊急頸管縫縮術に関する最近の数多くの研究を検討したNorwitzは,次のように述べている.「有効性に関しては,無作為化臨床研究はないので結論の出ない問題であろう.さらに将来,無作為化臨床研究が行われるか否かに関しては,緊急頸管縫縮術の有効性がある可能性がある場合には研究自体が非倫理的となる可能性があり,有効性の有無に関する疑問が解消される可能性が少ない.明らかに証明された恩恵がなく,確認された手術のリスクがあることから,十分な臨床研究で明らかな恩恵が示されるまでは,患者の広範囲にわたるわかりやすいカウンセリングの後に注意深く採用すべきである」(表3,4)[Contemp Ob Gyn 47(October): 48, 2002].
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