今月の臨床 周産期の感染症―管理と対策
垂直感染の管理と対策
6.ヘルペスウイルス
池田 智明
1
,
渡辺 博
1
,
稲葉 憲之
1
1獨協医科大学産婦人科
pp.61-63
発行日 2004年1月10日
Published Date 2004/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100498
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
ヘルペスウイルスは哺乳類・鳥類・魚類などの脊椎動物に広く存在しているウイルスであり,a,b,gの3種と魚ヘルペスウイルスに分類されている1).単純ヘルペスウイルス1型(herpes simplex virus type 1 : HSV―1)と2型(herpes simplex virus type 2 : HSV―2)は水痘・帯状疱疹ウイルスとともにヒトaヘルペスウイルスに属している.ヘルペスウイルスの生物学的特徴として,初感染後に宿主の神経節に潜伏し,ときに再活性化して再発症状を呈すること,血清抗体が終生検出されることが挙げられる.分娩時および出生直後に新生児が単純ヘルペスウイルスに感染すると,新生児ヘルペスを発症する.新生児ヘルペスは決して頻度の高い疾患ではないが,約90%が分娩時の産道感染を原因として発病する,今日でも致命率が高い重篤な疾患である.したがって分娩前の母親に性器ヘルペスの病変がみられた場合,帝王切開で出産することにより産道感染を防止できるが,無症候性ヘルペス感染の母親から新生児への垂直感染への対策が今後の課題である.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.