今月の臨床 婦人科の新しい画像診断法─PETを中心として
CT─最近の話題
婦人科領域への応用―MDCTによって得られる仮想子宮内視鏡
赤枝 朋嘉
1
,
井坂 恵一
1
1東京医科大学病院産科婦人科学教室
pp.1495-1499
発行日 2005年11月10日
Published Date 2005/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100435
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はじめに
近年,コンピュータ処理能力の進歩に伴い,画像処理技術はめざましく向上し,CT,MRIなどデータを用いた各管腔臓器の3次元画像が得られるようになってきた.Virtual endoscopy(VE : 仮想内視鏡)はリアルタイムイメージングにより生体構造の三次元再構築を表示することのできる一種のビュアーシステムであり,三次元構造物の内部に視点を置き,実際の内視鏡に近い視野角で表示することにより,内視鏡検査で得た臨床経験を生かした診断が可能となる.
その臨床応用に関しても各領域での有用性が数多く報告されており1, 2),なかでもz軸方向に多列の検出器を配する画期的なCT,multidetector─row CT(MDCT)の出現によりその描出能は劇的に改善され,VEのスクリーニングとしての位置づけも期待されている.
婦人科領域においては子宮が管腔構造を呈しているものの,これまで仮想子宮鏡(virtual hysteroscopy : VH)の報告はみられず,子宮内腔精査は主に光学内視鏡下で行われているのが現状であった.しかし,子宮内腔を拡張させることによりVH imagingを得ることは当然可能であり,今後,婦人科領域においてもその臨床応用は十分期待できる.そこで,Akaedaら3)の開発したCO2ガスにより子宮内腔を拡張させ撮像する方法を用い,粘膜下筋腫症例に対しMDCTを施行することで子宮内腔仮想内視鏡画像を得ることに成功した4).本稿では,婦人科領域におけるVHの有用性および臨床応用,さらには今後の展望に関して論じたい.
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