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兵庫県立成人病センターは昭和59年に県立がんセンターを母体として明石市に設置されました.病床数400床(婦人科50床)の厚生労働省臨床研修指定病院ならびに日本医療機能評価機構認定病院で,兵庫県におけるがん医療の中核・拠点病院となっています.全医師数は90名,うち婦人科のスタッフ数は6名(専門医5名)で,手術療法,放射線療法,化学療法などによる集学的治療を行っています.標準的治療を基本としますが,臨床試験にも積極的に参加しています.治療法の選択に際しては,その有効性や副作用についての最新情報を呈示するともに,当センターでの5年生存率などの治療成績を公表して,インフォームド・チョイスに努めています.また,20年前からすべてのがん患者の臨床データをコンピュータ管理し,がん治療で最も重要な治療効果の客観的評価や責任ある予後管理を心掛けています.2004年の新規がん患者数は浸潤子宮頸がん117例,子宮体がん78例,卵巣がん30例で,手術件数は年間462件でした.
頸部上皮内腫瘍(CIN)の若年化傾向から,妊孕能の温存を望む患者さんに対しては光線力学療法(PDT)による機能温存治療を1999年から導入しています.PDTは従来のレーザー治療とは異なり,頸部を切除することなくCIN病巣を選択的に治療する方法で,すでに100例以上の患者で約94%の治癒率を得ています.一方,局所進行頸がんに対しては手術の根治性を高めるために術前化学療法(NAC)を行っています.NACは白金,タキサン,イリノテカンなどを組み合わせて,約1か月の短期間で行っています.また,子宮体がんと卵巣がんに対しても広汎な手術と化学療法を積極的に導入しています.術後の化学療法は患者さんのQOLを考慮して,なるべく外来通院で行うようにしており,1週間に約40人が外来化学療法を受けておられます.
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