今月の臨床 胎児疾患の管理─胎内治療の時代を迎えて
胎内治療の適応と実際
頸部水滑液腫
川俣 和弥
1
1国立循環器病センター周産期科
pp.1233-1237
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100390
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はじめに
水滑液嚢腫(cystic hygroma)は先天奇形の液体貯留で,頸部,腋窩,肩の周りにみられることが多い.組織学的には良性のリンパ管腫(lymphangioma)の形態をとり,数個または多数の嚢胞状の拡張したリンパ管または空間の限局集団で,管腔は内皮細胞により覆われ,リンパ液で充満している1, 2).胎生早期の先天的なリンパ管系の形成異常により生じるとされている.
胎児期,特に第2三半期に発見されるリンパ管腫は非常に予後が悪く,後頸三角に認められることが多い.これに対し,第3三半期に発見される孤発性のリンパ管腫は前頸三角に認められ,比較的予後は良好である.
胎児期に発見されるcystic hygromaの例では60%以上の染色体異常を合併し,そのほかの合併奇形も認められることが多い(表1)3~5).
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