今月の臨床 月経前症候群と月経痛─どう対応するか
月経前症候群
月経前症候群への対応―薬物療法と生活指導
山田 清彦
1
1前橋赤十字病院第一産婦人科
pp.976-979
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100367
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
現代女性には,性成熟期に月経周期が存在する.これに伴って,1人の女性が生涯に経験する排卵性月経はおよそ300~400回である.大多数の人が,これが普通のことであると信じている.しかし,これはほんの200年前ごろから始まっている1)という事実を知る人は少ない.これは,およそ500万年といわれる人類の歴史のなかでは,きわめて最近の短い期間の出来事であり,現代女性は人類史において,未曾有の事態をほんの最近になって経験しはじめたということである.
通常の月経周期は排卵に伴う変化である.排卵は子孫を残すという生命の根源的な欲求に基づいて生じる現象であり,それに伴って子宮内膜が,その後の妊娠成立と維持を見越して増殖する.しかし通常は妊娠が成立しないので,1つの黄体の寿命とともに子宮内膜は廃棄される.すなわち月経という事態に終息する.1つの周期の終息とともに切れ目なく次の卵胞発育が開始する.この結果として,規則的な月経周期が生じる.
月経は一般的には生理と称される.現代人は,学校教育において,また社会生活や医療現場において,これを正常の,ごくあたりまえの現象と考えるように,繰り返し認識を新たにしている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.