連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・1
前回帝切後に経腟分娩(VBAC)し,癒着胎盤のために子宮内反症をきたしショック状態になった1例
深石 孝夫
1
,
松井 啓人
1
,
鏡 一成
1
,
清水 和子
1
,
高木 剛
2
,
田村 友宏
2
1桐生厚生総合病院産婦人科
2群馬大学医学部附属病院産婦人科
pp.893-897
発行日 2005年6月10日
Published Date 2005/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100353
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症 例
患 者 : 30歳代後半
既往歴 : 2年前に腎盂腎炎
妊娠歴 : 1経産(帝王切開)
経 過 : 今回の妊娠経過中,特に異常を認めなかった.妊娠40週2日,陣発にて入院した.GBS陽性のためPIPC点滴,前回帝切のためヴィーンFにて血管確保し経過を観察した.その後,無事,経腟分娩となり,3,140 gの女児を娩出した.アプガースコアは9─10─10であった.児を娩出後,胎盤が娩出しなかったので,10~20分経過後に臍帯牽引,Crede圧出法,Brant─Andrews法など各種の胎盤娩出法を施行したが娩出できなかった.その後,突然,疼痛を訴えショック症状となった.血管確保をもう1本追加し,カコージンなど昇圧薬を使用しショックの治療を行った.
初診時の所見
状況として子宮内反症を疑ったが,超音波断層法,内診にて子宮内反症の所見はとれなかった.しかし状況は子宮内反症を疑い,ショック対策を施行し手術を決定した.このとき疼痛が強かったので胎盤を環納し,内反症の整復はできなかった.
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