今月の臨床 安全な婦人科手術をめざして
外陰の手術
牛嶋 公生
1
1久留米大学医学部産科婦人科学教室
pp.740-743
発行日 2005年5月10日
Published Date 2005/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100326
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はじめに
外陰癌は比較的稀な疾患であるが,高齢者に多く,欧米では65歳以上で直線的に増加している.本邦では欧米に比べるとその頻度は低いが,長寿化傾向により,高齢者での発見が増加しており,現在の発病年齢のピークは70歳台である1).治療法においては,手術療法がほかの治療法より治療成績が優れているといわれているが,本邦では頻度が低いこともあり,過去には年齢や合併症を考慮した姑息的手術や放射線治療が主に行われてきた.これが欧米に比較し治療成績が劣っている一要因と考えられる.一方,若年者を中心にVIN(外陰上皮内腫瘍)の増加がみられており,HPVとの関連が示唆されている.
最近の外陰癌の手術療法の趨勢は,合併症や周術期管理の進歩に伴い,高齢者に対しても,浸潤癌には鼠径リンパ節郭清を含めた根治的手術を行い,早期癌に対しては縮小手術を選択する方向にある.
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