今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
3.STDの治療と注意点
ケジラミ
関 博之
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
pp.604-605
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100288
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1 診療の概要
ケジラミは性感染症の1つであるが,産婦人科領域の性感染症とは十分には認識されていないようである.通常,産婦人科領域の性感染症としては,クラミジア頸管炎,梅毒,淋病,HIV感染症,尖圭コンジローマ,腟トリコモナス症などが挙げられ,ケジラミを挙げている論文や教科書は少ない.産婦人科外来へ来院するケジラミの患者数は前述した代表的な性感染症の患者数より少なく,その予後も悪くないことなどが論文や教科書に記述されることが少ない原因と推測される.ケジラミの疫学に関する報告は少なく,本邦での頻度は不明であるが,オーストラリアでは性感染症の1~2%と報告されている1).
ケジラミ(pediculosis pubis)が陰毛に寄生し,陰毛が接触することにより感染し,ケジラミが吸血することにより掻痒感や湿疹が出現する.陰部以外の毛にも寄生することがあるが,幼小児にしばしば散見されるアタマジラミとは種類が異なる.ヒトに寄生するしらみにはケジラミ(Phthirus pubis, Linne 1758)とヒトジラミ(Pediculus humanus, Linne 1758)の2種があり,ヒトジラミには頭髪につくもの(アタマジラミ)と衣類につくもの(コロモジラミ)がある.ケジラミとヒトジラミの鑑別は40倍で虫体や卵を検鏡すると比較的容易である(表1)2).
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