今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[皮膚疾患,感染症] 妊娠線
加藤 さき子
1
,
畑 三恵子
1
1髙野医科クリニック皮膚科
pp.450-451
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100232
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1 診療の概要
妊娠線は妊娠による結合織の生理的変化である.妊娠中は母体の脳下垂体,甲状腺,副腎などのホルモン活性の上昇をはじめ,代謝・自律神経系の経時的な動的変化や,胎児胎盤を通じての種々のホルモンの産生により,母体は妊娠期に特徴的な生理的変化を生ずる.
母体の機能変化は皮膚にもさまざまな変化をもたらすが,以下の3つに分けられる.すなわち,(1)生理的な皮膚変化(表1),(2)妊娠に特異的な皮膚疾患,(3)妊娠により悪化または軽快する皮膚疾患,である.妊娠線は(1)に含まれ,妊娠中の皮膚の美容的なトラブルでは最も多いものの1つである.妊娠線は,早くは妊娠6か月より,一般的には妊娠8か月頃より生じ,腹部,臀部,大腿部,乳房などにみられる.90%近くの妊婦に出現するともいわれる.
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