今月の臨床 性感染症up to date
妊娠と性感染症
立松 美樹子
1
,
斎藤 滋
1
1富山大学医学部産婦人科学教室
pp.130-133
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101957
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はじめに
性感染症は,性的接触を介して感染する疾患で,生殖年齢にある男女を中心とした大きな健康問題である.特にクラミジア感染症,HIV感染症などが増加している.女性では20~40歳に最も罹患者が多く,また近年では若年化しているため,妊娠中に性感染症を合併し,母子感染による次世代への影響など問題となることが多くなると考えられる.また妊娠時の免疫系の特徴として,異物である胎児を許容するために細胞傷害活性を持つNK細胞活性が著明に抑制されていることや,拒絶反応に関与するTh1細胞が低下し,Th1細胞により誘導される細胞傷害性細胞活性が抑制されていることがある.そのため妊娠時は細菌,ウイルス感染の防御力が低下重篤化,再活性化が生じやすい.
本稿では,性感染症のなかで頻度が比較的高く,母子感染(胎内感染,産道感染,母乳感染)を起こし胎児に問題となる疾患について,それぞれ簡単に述べる.詳細については次項に譲る.
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