今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
VI 更年期・老年期外来
4. 女性内科的疾患 2) 高脂血症
若槻 明彦
1
1愛知医科大学産婦人科
pp.580-583
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100102
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1 病因・病態
1. リポ蛋白代謝
肝内で合成された超低密度リポ蛋白(VLDL)が血中に分泌され,中間密度リポ蛋白(IDL),低密度リポ蛋白(LDL)へと変換される.LDLは肝のLDL受容体から取り込まれ,血中濃度が維持されるが,血管壁内にも侵入する.高密度リポ蛋白(HDL)は肝や消化管から分泌されたり,VLDLからIDLへの異化過程でも産生される.血中にLDLが増加すると血管内皮下に取り込まれ,活性酸素に酸化変性される.マクロファージは酸化される前のLDLは認識しないが,酸化されたLDLのみを一方的に貪食後,最終的に破裂して泡沫細胞となり,粥状硬化に進展する.中性脂肪(TG)の増加はHDLコレステロール(HDL─C)を低下したり,LDLを超悪玉の小型粒子に変化させたり動脈硬化に促進的に作用する.一方,HDLは泡沫細胞内に存在するコレステロールを血管壁外に汲み出す脱泡沫作用を有し,粥状硬化の進展を抑制する.
したがって,高脂血症とは血中にLDLコレステロール(LDL─C)やTGが増加した状態を指し,HDL─Cの低下も治療の対象となる.
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