今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
VI 更年期・老年期外来
4. 女性内科的疾患 1) アルツハイマー病,認知症
大藏 健義
1
1獨協医科大学越谷病院産科婦人科
pp.575-579
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100101
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1 はじめに
更年期の女性では,40歳代後半からもの忘れを訴える頻度が増してくる.この時期のもの忘れは,大部分は正常の老化の範囲内にあるが,日常生活や社会的活動,あるいは職業的機能に支障をきたすようになると問題とされ,アルツハイマー病(Alzheimer's disease : AD)の初期と鑑別しなければならない.後述するように,ADの発症と閉経後のエストロゲン低下との関係が報告されている.ADは一度発症すると病状は確実に進行し,現在の治療薬では治癒させることは不可能である.したがって,できれば予防することが何よりも大切であるが,確実に予防する方法はない.しかし,閉経後早期にエストロゲン補充療法(ERT)またはホルモン補充療法(HRT)を行うことにより,ADの発症を半減できるという報告は数多くあり,その理論的根拠も十分に存在する1).このことについては後述する.
ADを発症した場合には,早期に発見して早期に治療やケアを行うという観点から,更年期・閉経外来に従事している婦人科医にとっても,ADは重要な疾患であることはいうまでもない.したがって,ここではまずADの予防についてエストロゲンとのかかわりについて述べ,次いでADを発症したときの治療の実際についても言及する.
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