今月の臨床 ART 2006
ARTの健全な発展のために
ARTにおけるカウンセリングの重要性
久保 春海
1
1東邦大学医学部第1産婦人科学教室
pp.20-23
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100004
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不妊カウンセリングとは何か
心の教育とか心のケアとかの言葉が一般の人によく知られ,心の問題に関心をもつ人が増えてきた.しかし,現在カウンセリングの意味は曖昧に使用され,人生相談や進路相談,あるいは医療相談などもカウンセリングとして扱われる場合がある.相談はある意味カウンセリングの一部ではあるが,相談は実質的な問題点を相談しにいく人が,何らかの意味で相手に教えてもらうとか,忠告してもらうという意味合いが強くなる.しかし,カウンセリングは1対1の人間同士の話し合いであり,クライエント自身の自主性,クライエント自身の考え,クライエント自身の体験を大切にしながら,その人が自然に変化していくのを支援者が助けるものである1).
したがって,生殖医療では,不妊に関するクライエント自身の思いや背景,意向をクライエントの語り(narration)による対話を通して,医療者側がよく聞いてあげることが不妊カウンセリングの基本となる.
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