Japanese
English
シンポジウム 先天股脱初期整復後の側方化
初期治療終了後の骨頭側方化の自然経過—放置最善説の根拠
Prognosis of Lateralization of Femoral Head after the Initial Treatment. A Ground of Our "Wait and See" Policy
坂口 亮
1
,
君塚 葵
1
,
田中 豊孝
1
,
永田 善郎
2
,
岩谷 力
3
,
原 勇
4
,
板垣 敏明
5
Ryo SAKAGUCHI
1
1心身障害児総合医療療育センター
2東京大学医学部整形外科
3静岡こども病院整形外科
4原整形外科病院
5日本大学医学部整形外科
1National Rehabilitation Center for Disabled Children
キーワード:
骨頭側方位
,
lateralization of femoral head
,
放置静観療法
,
observation method
,
補正手術
,
additional operation
,
装具療法
,
brace therapy
,
減捻内反骨切り術
,
derotational varus-osteotomy
Keyword:
骨頭側方位
,
lateralization of femoral head
,
放置静観療法
,
observation method
,
補正手術
,
additional operation
,
装具療法
,
brace therapy
,
減捻内反骨切り術
,
derotational varus-osteotomy
pp.633-638
発行日 1983年6月25日
Published Date 1983/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908658
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はじめに
先天股脱の初期治療が終って,子供が下肢平行位で自由に歩き回る頃に,X線上骨頭側方位がみられることが多い.このような状況に直面した場合,整形外科医師の態度は基本的に二つに分れる.その一つは,X線上の骨頭側方位を即遺残亜脱,そして将来の骨関節症に直結するものとして,それを防止するためには,できるだけ早い時期に徹底的改善策を施してその後の好ましい成長発育を導くべきであるという態度である.(方法として,装具の工夫など保存的なものと,各種骨盤骨切りを主とする補正手術など観血的のものとがあるが,その基盤となる理念は同じである.)これに対して別の姿勢は1,2歳代でみられるX線上の骨頭側方位は時期的な一過程とみて意に介さず,子供自身の自然好転を期して経過を看視するだけというものである.我々はもとより後者に属するので,現今の整形外科医師による装具や手術の濫用には反撥や抵抗を感じる.幸いこの問題についてシンポジウムの機会を与えられたので,我々の経験から生れた信条を述べたいと思う.
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