症例検討会 骨・軟部腫瘍20例
〔症例4〕左下腿後面の腫脹と疼痛(Extraskeletal Ewing sarcoma)
水島 睦枝
1
,
伊藤 慈秀
1
,
那須 亨二
2
,
田村 宣夫
2
1川崎医科大学病理川崎病院部門
2川崎医科大学整形外科川崎病院部門
pp.488-490
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908601
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患者:21歳,男.工員.主訴:左下腿後面の腫脹と疼痛.1977年9月頃より左下腿後面の腫脹と疼痛を来たし,次第に増強したため,7ヵ月後に本院受診.翌月に左腓骨を含めて下腿腫瘍の摘出術施行.4ヵ月後に手術創部再発を来たし,大腿切断術施行.初発症状から1年10ヵ月目の現在,再発・肺転移なく経過良好.経過中下腿皮膚に急性炎症所見なく,全身状態良好で,発熱・白血球増多症・血沈亢進もなく,他の骨やリンパ節転移もない.
初診時X線写真では,軟部腫脹に一致する腫瘤影と矢印の部に顆粒状石灰沈着を認め,腓骨骨幹部は頸骨側の骨皮質肥厚と軽度の骨膜反応を示したが,骨髄内の変化は不明瞭であつた(第4-1図・左).肉眼的に腫瘍は筋肉内にあり18×7×8cmで770g,ほぼ紡錘状を呈し,腓骨の前部を除いて腓骨をとり囲み,黄〜灰白色,充実性,硬で,線維性隔壁に富んだ多結節状を呈し,周囲筋層との境界は明瞭.腓骨を含む割面では,軟部腫瘍は骨皮質に密接しているが,骨髄内への侵襲は不明瞭(第4-1図・右).
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