特集 脊椎外科(第1回脊椎外科研究会より)
われわれの腰部椎間板ヘルニア手術療法の変遷について
土方 貞久
1
,
藤村 祥一
1
,
若野 紘一
1
,
石名田 洋一
1
,
平林 冽
1
Sadahisa HIJIKATA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.934-936
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908518
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慶大整形外科における椎間板ヘルニア手術の歴史は,昭和8年,頸部椎間板ヘルニアに対してなされた1例で始まるが,腰部のそれは,翌9年,硬膜外腫瘍として手術されたものが第1例となる.戦災による資料の喪失のため,今回,昭和20年以後の症例を調査したが,われわれの腰部椎間板ヘルニア手術療法の歴史をふりかえることは有意義なことであると考え,報告する次第である.調査しえた症例は,昭和23年の椎弓切除6例に始まり,昭和47年末までに総計681例である.その内訳けは,椎弓切除法91,ラヴ法269,後方固定法122,クロワード変法103,前方固定法96例となり,第1図のごとく,術式の変遷が明らかとなるが,これは,われわれのヘルニア手術に対する考え方の変遷を物語つていると考えられるため,その根拠につきのべる.
昭和26年までは,椎弓切除法が唯一の手術法となつているが,27年になり,椎弓切除後の,脊椎,椎間板への影響を考慮して,後方固定を同時に賦与せしめている.しかしこれとて全例に対して行つている訳ではない.昭和30年は後方固定が26例と,もつとも多く行われた年であるが,同時に2例のラヴ法が導入されている.ラヴ法はその後次第にヘルニア手術療法の主流となり,36年30例,37年52例,38年31例とそのピークに達した.
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