認定医講座
肩のスポーツ障害
濱 弘道
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.937-942
発行日 1989年8月25日
Published Date 1989/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908165
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I.肩の機能解剖と病態
一般にスポーツ障害は,小外傷の反復に起因するものと,強い外力により非生理的運動を強制されたあとに発生するものとからなる.肩のスポーツ障害でも反復性肩関節脱臼に代表される後者よりも,前者すなわちoveruse syndrome(使いすぎ症候群)に分類されるものがはるかに多く,その頻度はきわめて高い.このことは,スポーツにおける6つの基本動作,すなわち立つ,歩く,走る,跳ぶ,蹴る,投げるのうちで最もよく行われるものが「投げる」動作であるといわれることからも十分理解できる.
いわゆる「投げる」動作は,バレーボールのスパイク,テニスのサーブなどと同様に,通常3相,すなわち第1相:コッキング期,第2相:加速期,第3相:フォロースルー期に分けられる(図1).第1相では肩は外転・外旋・伸展し,その前方要素が過緊張を強制される.ついで内旋が始まり第2相の加速期に入り,球をはなし,もしくは打ち,強く内転・内旋して第3相のフォロースルー期につづく.この第2相から第3相では後方要素が制動作用を果たしながら,強く牽引をうける.このような運動が反復されてoveruse syndromeに至るものと考えられる.
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