視座
整形外科にとってのMRI
柴田 大法
1
1愛媛大学
pp.1155
発行日 1988年10月25日
Published Date 1988/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907951
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最近の学会発表ではMRI(磁気共鳴映像法)画像も普通のものとなった.1984年2月,フロリダ大学Enneking教授のもとに研修に出かけたとき,初めて腫瘍のMRI面像をみた.始めはCT像の翻転したものぐらいにしか思わなかった.骨はlow intensityであるため真っ黒で存在しないように見え,しかも横断像のみしか見る機会がなかったからである.これぐらいなら得られた面像を白黒翻転の裏焼きにしてCTと同じにすれば見易いのではと思ったものである.しかし軟部腫瘍の例では,組織の多様性が白黒様々に示されたり,生検後の血腫が真っ白に見えて腫瘍と識別可能であったりして,ある種の質的診断の可能性と生体無侵襲との利点を考え合わせるとこれは大したものだと思うようになった.1985年9月再度,同所を訪れたときには,2台目のMRI機器が設置工事中で,axialやcoronal画像も撮れると聞いた.CTの導入で果たされた任意の横断像を見る夢がふたたびもとの断層撮影像に戻るのかぐらいにしか感じなかったものである.しかし民活のお蔭で松山でも2台のMRI機器が導入され,画像が入手できるようになってその驚くべき威力に目を瞠らされることになった.先ず大腿骨骨肉腫のaxial像で,単純XPから予想された拡がりを遥かに超える骨髄内病巣の近位への拡がりとskip病巣の存在が明瞭になった.
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