認定医講座
脊髄の画像診断
宮坂 和男
1
1北海道大学医学部放射線医学教室
pp.1119-1130
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907946
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.検査法の概略と基本的所見
CT:脊髄は,厚い骨構造に囲まれ,且つ,脊柱の周囲にはX線吸収値の極めて異なる組織が混在している.このような情況では,通過X線の線質が変化し(beam hardening現象),CT上,脊椎管内の吸収値(CT値=Hounsfield Unit:HU)は,変化し易く且つ低くなる傾向(undershooting)があり,CT値測定は絶対的なものではない.しかし,通常,水は0HU,空気は-1000HU,緻密骨は+1000HU前後である.脂肪は-100HU前後であり,急性期の出血は50HU以上となるが,100HUを越える事はない.又,椎体縁などから生ずる線状陰影streak artifactも,脊髄CTの障害となる.これは,データ取得密度(データ取得のピッチ幅)が細かく,断層厚が薄い方が軽減される1).断層厚が薄いと,partial volume effectが少なく,空間分解能も向上する.しかし,一方,断層厚が薄い場合,X線光子量が減少し,信号雑音比(S/N比)が増し,密度分解能は劣化する2).従って,X線光子量を増やすべく使用機種のなるべく良い条件で(スキャン時間を長く),且つ5mm以下の薄い断層厚での撮像が望まれる.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.