シンポジウム 変形性股関節症に対するBipolar型人工骨頭の臨床応用
変形性股関節症に対するBipolar型人工骨頭の臨床応用—緒言—
山室 隆夫
1
1京大整形外科
pp.1064
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907939
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最近の10年間に人工股関節のlooseningの防止のために,材質,デザイン,手術手技などの面で多くの進歩があったが,なお,40歳以下の比較的若い年齢層の患者に用いて術後20年以上の長期成績を保証するような人工股関節は登場してきていない.一方,カップ関節形成術は後療法に長期間を要することや股関節の可動性が比較的少ないなどの問題点はあるにしても,30歳以下の患者に用いれば20年以上にわたって優れた成績がえられることが判明している.そこで,人工股関節の良い適応とならない様な比較的若い年齢層の患者で,大腿骨頭の破壊が著しくカップ関節形成術の対象とならない症例において,臼蓋側に対してはカップを用い,骨頭は人工骨頭で置換して両者を中間挿入物を介して結合させることが考えられた.これがbipolar hip prosthesisであり,1974年にGilibertyとBatemanによってそれぞれ独立に設計された.Gilibertyのものはカップと人工骨頭との間で脱臼したり,カップの著しい内反をきたしたりする構造上の問題のため普及せず,Bateman型が広く用いられてきた.最近ではカップが内・外反位で固定されるのを防止するためにselfcenteringの機構をもったOsteonics bipolar prosthesisやHastings hipなどが登場してきている.
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