特集 脊柱管内靱帯骨化の病態と治療(第16回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「VI.胸・腰椎黄色靱帯骨化症に対する手術」の部
小野村 敏信
1
Toshinobu Onomura
1
1大阪医科大学整形外科学教室
pp.356-357
発行日 1988年4月25日
Published Date 1988/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907816
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胸・腰椎部の黄色靱帯骨化(以下OYLと略す)は,一連の脊柱靱帯骨化の中にあって,特殊な問題を抱えている疾患である.すなわちまず第一にこの骨化は胸腰椎移行部におこりやすく,腰髄膨大部および脊髄円錐の障害がおこる可能性があるために,臨床症状の多彩なことがあげられる.またこの部のOYLが単独に発生することはむしろ少なく,同高位あるいは他の高位にOPLLやOYLが合併して存在することが珍しくないために,責任病巣の診断や手術侵襲範囲の決定が容易でないことも問題の1つである.手術そのものについても,胸腰椎部OYLでは骨化部と硬膜に強い癒着をみることが少なくないことなどから,手技的な難しさを無視できない.以下このセッションで発表された胸腰椎OYLに対する手術についての演題と,討論の要旨を紹介したい.
倉上(北大)らは胸腰椎OYL単独障害の手術例21例について症状分析と骨化増大に関係する因子の検討を行い,症状が多彩で下肢腱反射低下例の多いこと,また骨化部位に椎間板変性や椎体模状化のみられるものが多く,これが骨化増大の要因となりうることを示唆した.
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