視座
大学病院の手術制限
津下 健哉
1,2
1広島県立身体障害者リハビリテーションセンター
2広島大学
pp.237
発行日 1987年3月25日
Published Date 1987/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907565
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大学を辞めて1年半が経過した.在職中常にイライラの原因であった手術制限より解放されて,私の心臓への負担が無くなったことを喜んでいる次第である.したがって問題は解決した如くであるがやはり気になるので書かせて頂くことにした.
御承知の如く大学病院の手術部には大なり小なり手術制限があるようである.全国の大学につき調査したわけではないが大同小異の如くで,教授が手術が必要と診断し,希望しても直ちには手術はできないわけで,予定手術を変更するか,他の病院に転送するか,また患者にはマイナスと知りながら手術を延期しなければならない点である.勿論手術室は各科の使用になるわけであるから多少の制約のあることは当然であるが,その運用が余りにも硬直化し,障害が多過ぎるようである.救急外傷は受け付けない病院も多いと聞くが,例え受け付けても手術までには数時間の待機を止むなくさせられる場合も少なくない.要は各科,各部が夫々の権利を主張し,最後に残った時間を手術に当てるということに原因があるようだ.気の毒なのは患者さんというべきか.設備は充分あるにもかかわらず人のやりくりへの硬直性というか融通の無さが原因であろう.そしてそこには医師を含め総ての職員に国立特有な親方日の丸的考えがあることも否定できない.さらに医局という破ることの難しい閉鎖性カプセル内の温室環境がお互いの向上心を阻害しているのも事実であろう.
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