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臨床経験
大腿骨軟骨肉腫に続発した肺腫瘍塞栓症の1剖検例—腫瘍塞栓,空洞形成,真菌症の合併について
Pulmonary Tumor Embolization Secondary to Femoral Chondrosarcoma: An Autopsy Report
三浦 正明
1
,
矢部 啓夫
1
,
花岡 英弥
1
,
宮内 潤
2
Masaaki Miura
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
2慶應義塾大学医学部病理学教室
1Department of Orthopedic Surgery, School of Medicine, Keio Gijuku University
キーワード:
軟骨肉腫
,
chondrosarcoma
,
腫瘍塞栓
,
tumor embolization
,
空洞
,
cavities
,
アスペルギルス症
,
aspergillosis
Keyword:
軟骨肉腫
,
chondrosarcoma
,
腫瘍塞栓
,
tumor embolization
,
空洞
,
cavities
,
アスペルギルス症
,
aspergillosis
pp.847-850
発行日 1986年7月25日
Published Date 1986/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907451
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抄録:40歳男性の右大腿骨軟骨肉腫例で,肺に多発転移をきたし術後2年6ヵ月に死亡した1症例を経験し剖検を行った.剖検所見では両側肺門部を中心に肺動脈内に広範囲に亘る腫瘍塞栓の形成がみられた.また右肺上・中葉肺実質内には大きな壊死性空洞が形成され,空洞壁にアスペルギルスの真菌感染巣を認めた.腫瘍塞栓の形成には腫瘍の大きさ,成長速度,血管侵襲性等が影響するといわれている.軟骨肉腫は,血管内で成長し,肺や心臓の動脈内に拡がる例の報告がある.転移性肺腫瘍の空洞については,定説はないが本例は肺動脈腫瘍塞栓のため,肺実質内に乏血性壊死を来し,壊死巣が空洞化し更に真菌感染を併発したと考えられる.真菌症の中でアスペルギルス症は診断困難な場合が多く,そのまま細菌感染症として処理される可能性が考えられる.
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