Japanese
English
臨床経験
右小指基節骨に発生し,軟骨肉腫との鑑別を要した骨膜性軟骨腫の1例
A Case of Periosteal Chondroma of the Right Small Finger
山根 誓二
1,2
,
花岡 英弥
1
,
矢部 啓夫
1
,
市川 亭
1
,
森岡 秀夫
1
,
入 久巳
3
,
向井 万起男
3
Seiji Yamane
1,2
1慶應義塾大学医学部整形外科
2荻窪病院整形外科
3慶應義塾大学病院中央検査室病理部
1Department of Orthopaedic Surgery, Keio University School of Medicine
キーワード:
periosteal chondroma
,
骨膜性軟骨腫
,
chondrosarcoma
,
軟骨肉腫
,
cartilaginous tumor
,
軟骨性腫瘍
Keyword:
periosteal chondroma
,
骨膜性軟骨腫
,
chondrosarcoma
,
軟骨肉腫
,
cartilaginous tumor
,
軟骨性腫瘍
pp.875-878
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901958
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抄録:右小指基節骨に発生し,軟骨肉腫との鑑別に難渋した良性の軟骨性腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は36歳の女性で,21年前より右小指の腫瘤に気付いていた.その後徐々に増大したため当科を受診し,精査加療目的にて入院した.単純X線像は,右小指基節骨骨皮質に接した境界明瞭な腫瘤像を示したが,CTおよびMRI像などの画像所見では良悪性の鑑別ができず,生検をかねて摘出術を施行した.組織学的所見は軟骨基質のなかに増生した軟骨細胞が主体であるが,細胞密度が高く異型性の目立つ細胞,分葉核を有する細胞も認めた.軟骨肉腫を思わせる組織像であるが,骨膜性であり手指発生である.経過が21年と長くしかも急速な増大でない,臨床的にも疼痛などがみられないことなどを加味して良性の骨膜性軟骨腫と診断した.軟骨性腫瘍は病理組織像のみではなく,発生部位,経過などを含め統合的に診断すべきだと考えた.
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