視座
仙腸関節性腰痛あれこれ
白井 康正
1
1日本医科大学整形外科
pp.1351
発行日 1985年12月25日
Published Date 1985/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907303
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遺伝子工学による種の変換,死の判定による人問の生死の境の決定,それによって行われる心臓・肝臓等のvital organの移植等近代の科学・医学はつい20年前には想像の世界であったものが現実になりつつあるが,医の倫理の方は相変らず昔のままの様である.整形外科医の我々もこれらの大問題に首を突っ込みたい気持はあっても,あまりに違う世界の様な気がするし,さりとて知らん顔という訳にもいかず,こんな事を考えているとくたびれてしまう程の進歩である.
世の中がいそがしくなり,人間が長生きして人生を楽しむようになると,必ず一度は腰痛という難問に遭遇するのが人の世の常のようである.この腰痛の中でも神経原性腰痛とか脊柱原性腰痛とか言うものでなく,仙腸関節由来の腰痛の患者が意外に多いものである.成書には仙腸関節の痛みとして記載されているが,私はこれも一種の腰痛と考えて,あえて仙腸関節性腰痛と言いたい.
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