整形外科を育てた人達 第6回
Francis Glisson(1596-1677)
天児 民和
1
1九州大学
pp.750-753
発行日 1983年7月25日
Published Date 1983/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906791
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Glissonはくる病の発見者として我々整形外科医には知られているが,彼は17世紀の英国に於ける傑出した医学者であった.先ず彼の肩書より紹介すると,Cambridge大学の勅任教授でありRoyal Society設立当初よりの会員,又Royal College of Physiciansのメンバーでもあった.彼の誕生は1597年で,Englandの南西部のDorsetのRampishamで生れている.兄弟は9人で彼は2番目であった.大学進学はゆっくりとしていて,20歳でCambridgeのCaius Collegeに入学した.その後は彼は色々と回り道をしている.Caius Collegeを卒業後一時ギリシャ語の教師をしたが,1627年にはOxfordに転じ30歳で医学教育を受け始めた.その頃William Harveyが血液循環に関する論文を発表して医学界を大いに刺激したが,医学研究には先ず解剖学を知ることが大切であると論じているのにGlissonも教えられたのであろう.彼はその後再度Cambridgeに帰り1634年にやっと卒業している.この時彼は37歳であった.しかし彼は決して怠者ではなかった.医学の勉強も自分が納得できるまでゆっくりとやって来たのである.彼の能力は既に認められ卒業後2年で医学部の勅任教授になっている.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.