特集 上位頸椎部の諸問題
総括
IV.上位頸椎奇形の部
金田 清志
1
Kiyoshi KANEDA
1
1北海道大学医学部整形外科学教室
pp.374-375
発行日 1983年4月25日
Published Date 1983/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906726
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上位頸椎奇形のセッションで,伊藤(富山医薬大)は,環椎単独の脊椎管狭窄(developmental narrowed canal)による脊髄圧迫でC1椎弓切除で症状寛解のあった1例を報告した.単純X線写真でC1の脊椎管前後径14mm,C2以下は18〜19mmと広く,ADDは5mmあった.演者は上位頸椎に異常を認めない正常男子65人のC1-ringのX線写真上の前後径計測を行い,C1前弓後縁と後弓前縁までは平均37.9mm,歯突起後縁からの脊椎管は平均22.6mm,C2脊椎間前後径平均18.7mmに対し,C1-ring前後径比は121%と述べた.環椎単独でのcanal stenosisで珍しい報告である.森園(鹿児島大)は軸椎の後方要素の先天性欠損の1例を報告した.外傷を契機に偶然発見されたもので左上肢に病的反射の出現があったが,その他には神経学的異常所見はなかった.C2棘突起が肥大しC2/3間にinstabilityがあった.myelogramで異常所見がなかった.大和田(札幌医大)は歯突起欠損を伴ったMorquio's syndromeの3例を報告し,このうち1例ではatlanto-axial instabilityが強く,C2-C3の癒合があり,halopelvic apparatus装着でoccipitocervical (C5) fusionで良好な骨癒合を得,脊髄性痙性麻痺の改善をみた.
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