臨床経験
軟骨芽細胞腫の2例—殊に悪性化の考えられた症例
北城 文男
1
,
森松 稔
1
,
荒川 正博
2
,
矢野 荘一
3
,
横田 清司
3
,
生田 久年
3
Humio HOJYO
1
1久留米大学医学部第二病理学教室
2久留米大学医学部第一病理学教室
3久留米大学医学部整形外科学教室
pp.769-775
発行日 1978年8月25日
Published Date 1978/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905756
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緒言
軟骨芽細胞腫(Chondroblastoma)は稀な腫瘍である.1942年Jaffe & Lichtenstein6)が骨端部の軟骨細胞由来の腫瘍で軟骨肉腫に比して生物学的性状が良性であるとして,本腫瘍を骨巨細胞腫から区別するために組織所見の類似性から"benign chondroblastoma"と呼称した腫瘍で,以後あい次いで報告されている.一方本腫瘍は,Lichtensteinら9)によると組織学的に軟骨肉腫や骨肉腫と誤診され易い腫瘍の一つであると指摘されていると同時に,近来"malignant"chondroblastoma(Ackerman 1969)7)の報告もみられるように,chondroblastomaは良・悪性の判定に関して今後の問題点を残している.
最近我々は,19歳女性の右距骨に発生したbenign chondroblastomaの1例および56歳女性の左大腿骨頭に発生したchondroblastomaで臨床的・組織学的にchondrosarcomaとの鑑別に難渋したchondroblastomaの1例計2症例を経験したので,若干の病理組織学的観察と文献的考察を加えて報告する.
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