論述
側彎症の肺機能
太田 和夫
1
,
加藤 幹夫
1
,
佐川 弥之助
1
,
加藤 実
2
,
渡辺 秀男
2
,
樫本 龍喜
2
,
小野村 敏信
3
Kazuo OHTA
1
1京都大学胸部疾患研究所肺生理
2京都大学医学部整形外科学教室
3大阪医科大学整形外科学教室
pp.1034-1044
発行日 1977年11月25日
Published Date 1977/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905613
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はじめに
側彎症は単に脊柱の彎曲異常を示すのみではなく,胸廓の変形を伴う事はすでに紀元前4世紀にHippocratesにより述べられている.このように変形した胸廓が肺機能の低下を伴う事については,1845年にSchneevoltが肺活量の減少を指摘して以来,数多くの報告がある.
近年,側彎症に関する社会的な認識が高まるとともに,受診患者数は著明に増加しているが,本症患者が呼吸器症状を主訴として受診する事は極めて稀である.この事は側彎症の発症が多くは思春期以前であり,たとえ胸廓の変形を有していても,この年齢では呼吸器症状に関して代償機能が良く保たれており,無症状に経過する者が多いことを示している.しかしこの年齢以後には,彎曲の増加または加齢とともにその代償機能が低下し,呼吸器症状を来たす者があることは事実である.
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