臨床経験
下腿筋膜のfibroostoseと考えられる症例について
松崎 昭夫
1
Akio MATSUSAKI
1
1福岡大学医学部整形外科学教室
pp.1014-1020
発行日 1977年10月25日
Published Date 1977/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905608
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緒言
スポーツマンで特別思い当る外傷もないのに下腿の疼痛を訴えて来院する患者が稀にみられる.その原因疾患も単なるアキレス腱痛よりentrapment neuropathy,疲労骨折,anterior tibial syndrome,medial tibial syndromeなど種々のものを挙げる事ができる.更にはドイツ語圏でいうInsertionstendopathie,Insertionsligamentpathie,Tendoperiostose,Fibroostoseなど種々の同義語を持つ一群の疾患も原因として挙げられる.このような同義語のおのおのはいずれも指すところがせまく,詳しくいうと適当でないとの意見もあるが,筋,腱,靱帯,腱膜などの附着部におけるBelastungとBelastbarkeitの平衡障害により起こつてくる一群の疼痛性疾患と考え,以下fibroostoseを用いる2,4,14,17).著者は下腿筋膜附着部または長趾屈筋起始部におけるfibroostoseと考えられる7症例の経験をした.そのうち1年以上経過の追えた3例と,特殊な形の疲労骨折に続いて起こつたと考えられる1例につき報告し,いささかの考察を加えてみたい.以下文中の圧痛表示は患者の示す表情,反応を参考にして主観的に強(+++),中(++),弱(+)の三段階に分けて行なつた.
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