臨床経験
上位頸髄腫瘍に対する前後同時侵入法の経験
八木 知徳
1
,
高橋 一男
2
,
原田 吉雄
3
Tomonori YAGI
1
1北海道大学医学部整形外科学教室
2旭川日赤病院整形外科
3旭川医科大学整形外科学教室
pp.817-820
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905579
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はじめに
脊髄腫瘍に対する外科手術はHorsley(1887)1)が初めて摘出に成功してから広く行なわれるようになり,今日までに数多くの症例報告がなされている.しかし頸髄腫瘍の場合,臨床症状の特異性と生命に直接影響を与える危険性から正確な診断と慎重な治療法が要求される.特に上位頸髄腫瘍の場合は手術手技上,腫瘍の完全摘出が困難な場合が多く,未だ問題が残されている.一方,Habel(1972)2)青木(1975)3)らは頸椎に発生した砂時計腫に対し,前方および後方より同時に侵入し,良好な結果を得たと報告し,この種の腫瘍に対する手術手技の進歩がうかがわれる.
最近我々は第3頸髄神経根部より発生した砂時計型の神経鞘腫に対し,前側方および後方より同時に侵入し,腫瘍を完全に摘出し得たので若干の考察を加えて報告する.
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