シンポジウム Silicone rod
Rodによる滑膜類似管腔形成—2次的腱移植法の検討
吉津 孝衛
1
Takae YOSHIZU
1
1新潟大学医学部整形外科学教室
pp.136-146
発行日 1976年2月25日
Published Date 1976/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905312
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I.本法の歴史的経過
手の外科領域においてもつとも困難で重要な問題の一つである腱修復後の癒着防止策に関し,過去1世紀にわたりさまざまな考え方の許に,実験的,臨床的に数々の試みや検討がなされてきた.
近年Linsay1),鴇田2)らの実験的研究から,修復された腱は理想的な条件下ではparatenonを要せず,腱表面のepitenon由来の新生結合織で癒合が完成することが明らかになつたけれども,実際症例においては腱損傷部への血行障害,周囲組織損傷の合併などにより,そのような理想的な条件下で腱癒合が進行することは少ない.従つて"no man's land"内における腱修復や,腱移植の成績も依然として術後の癒着障害のため決して満足すべきものではない.特に高度挫滅例や周囲組織の瘢痕化の強い例においてはなおさらである.
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