論述
2中心性はめこみ型人工膝関節(2CRL型)について—Preliminary report
山本 真
1
,
塚本 行男
1
,
糸満 盛憲
1
Makoto YAMAMOTO
1
1北里大学医学部整形外科学教室
pp.950-957
発行日 1975年11月25日
Published Date 1975/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905264
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いとぐち
破壊の高度な関節の機能再建に人工物の使用は重要な1つの方向である.生理的な膝関節の運動と異つた単なる蝶番運動のみのhinged knee prosthesisはすでに過去のものであり,geomedicそしてpolycentricなどのhingeless typeの人工膝関節の時代であると主張する人も少くない.しかし慢性関節リウマチ(RA)のごとく,軟骨面のみならず骨質まで強く破壊されたり,膝のstabilizerである半月,靱帯まで損傷されると,関節端のみを置換しただけでは優れた支持性はなかなか得られない.そこでhinged jointのある範囲内ではあるが安定したsmoothな動きが捨て難いものとして限局されたとはいえなお適応を認められてきた.また単なる蝶番運動のみでも関節自体が安定ならば,日常生活にはほとんど支障がないこともよく知られた事実である.
問題はこのhinged prosthesisの合併症の出現頻度が他の人工関節に較べて非常に高いことである.その主なものは感染をのぞくとlooseningと関節の軸や柄の折損,骨折などであつて,その原因は膝の生理的運動を無視したところから,くり返されるstressが集中するためであるとされている.
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