臨床経験
脊椎に多数の病巣がみられた巨細胞腫の一剖検例
大崎 康正
1
,
石井 良章
1
,
芝田 仁
1
,
福田 宏明
2
,
亀谷 徹
3
,
森川 征彦
4
Yasumasa OHSAKI
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2東海大学医学部整形外科学教室
3国立がんセンター第2病理部
4慶応義塾大学医学部病理学教室
pp.924-931
発行日 1975年10月25日
Published Date 1975/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905259
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はじめに
脊椎巨細胞腫の報告はMadelung(1908)に始まり,われわれの渉猟し得た限りでは欧米44例,本邦33例を数える.これら脊椎巨細胞腫の共通点は病巣が1椎体に限局しているか,または隣接椎体にのみ波及していることである.
最近著者らは第7頸椎に初発し,約2年後にレ線上第1腰椎の病変が発見され,剖検で初発部位より遠隔の胸椎腰椎にも多病巣を確認し得た脊椎巨細胞腫を経験したが,このようなパターンは従来みられず,本疾患に特異な問題を提起したといえる.ここに本症例の病変進展の解析を中心として,診断と治療に関する諸問題を併わせて論ずる.
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