論述
橈骨神経深枝麻痺の治療経験
渡 捷一
1
,
松石 頼明
1
,
津下 健哉
1
,
石川 文彦
2
Shoichi WATARI
1
1広島大学医学部整形外科学教室
2広島県立広島病院整形外科
pp.589-594
発行日 1975年7月25日
Published Date 1975/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905210
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橈骨神経麻痺は末梢神経麻痺のうちでは頻度の高いもので,特に高位型は上腕骨骨折,上腕挫創,あるいは注射等の合併症として日常しばしば遭遇する機会があるが,低位型は比較的少い.橈骨神経低位麻痺(深枝麻痺)の場合もその多くは前腕の挫創等の直達外力により発生したものであるが,時に何らの誘因なく,あるいは軽微な外力を誘因に惹起される場合があり,non-traumatic paralysis,progressive paralysis等として報告されている.しかし,本症の発生機転についての解明が進んだのは近年で,ことにKopell Thompson(1963)らによりentrapment neuropathyの概念が提唱されて以来,本症の理解は容易となつたが,いまだ不明の点も少くない.
私達は最近までに多くの橈骨神経深枝麻痺を経験したが,これら症例の大部分は直達外力による開放損傷,あるいは挫傷,あるいは骨折,脱臼に付随して惹起されたものであり,いわゆるentrapment neuropathyと診断され,治療したものはわずかに19例に過ぎない.
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