シンポジウム 慢性関節リウマチの前足部変形に対する治療
慢性関節リウマチ患者の足趾変形に対する手術的療法—Kates,Kessel,Kay法を中心として
有富 寛
1
,
山下 勇紀夫
1
,
山本 真
1
Hiroshi ARITOMI
1
1北里大学医学部整形外科学教室
pp.571-580
発行日 1975年7月25日
Published Date 1975/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905208
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緒言
慢性関節リウマチ患老においては前足部の諸関節に手指関節と同一の関節炎症症状を呈し,これら関節が体重負荷を分担することから関節炎症過程とあいまつて足の静力学的バランスが崩れ足趾にも変形を来たすことはよく知られている。Fletcherらは40例の確かな慢性関節リウマチ患者で手と足が障害された症例のうち中足趾節関節(以下MTPと略す)の45%中手指節関節の30%にレ線上異常所見が認められ手より足趾の方がより高頻度に障害されることを報告した.また足趾のみのレ線所見では異常所見を32%(I趾)ないし59%(V趾)のMTPに認め第5趾のMTPではリウマチ病変の初期より変化が認められることを示した.またThouldらは105例のdefiniteおよびclassicalの慢性関節リウマチ患者の足部レ線に96例(91%)の異常所見を認めた.そのうちMTPのレ線所見に異常を認める症例数は第1図に示す通りである.なおこれら足に異常なレ線所見を認める症例のうち16例(15%)は疼痛などの症状を呈していない.これらの症例では慢性関節リウマチ炎症過程の再燃進行の継続により病歴が長くなり特に5年を超える例では足趾変形が非可逆的となりbunion(腱膜瘤)形成,外反母趾,槌趾cock up toes足底および趾背に胼胝cornなどを形成する.
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