論述
P. T. B.型ギプスによる下腿骨骨幹部骨折の外来通院治療
青柳 孝一
1
,
三国 義博
1
,
石垣 一之
1
,
八木 知徳
1
Takakazu AOYAGI
1
1市立札幌病院整形外科
pp.406-412
発行日 1975年5月25日
Published Date 1975/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905178
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はじめに
内固定金属のめざましい発達により骨折治療法は極めて多種多様となつている.とくに下腿骨骨幹部新鮮骨折の場合にはその感が強い.その反面治療法の適応に対する考え方が甘くなつて来ていることも否定できないようである.骨折の治療は患者に最も無害な方法により骨折片が解剖学的に正しい位置で癒合しできるだけ短い期間で正常の機能を獲得するのが原則であり,いいかえればできるだけ痛くなく,早く,そして変形機能障害を残さずに社会復帰することができ,さらにこの物価高の折,治療費の患者負担が軽くすむ治療法が理想と考えられる.このためには一つの治療法にこだわつたり,また逆に適応を充分考えない上,一つの手技に習熟しないうちに新しい方法に飛びつくのは問題である.われわれは従来の教科書,最近の文献,そして自験例を検討の上で一定の治療方針を作りこれに基づいて治療を行つている.当科における下腿骨骨幹部骨折の治療方針はまず可能な限り保存的治療を行うのを原則としている.しかし保存的治療を行う場合には患者に苦痛を与えるような徒手整復は一切行つていない.したがつて整復して下腿軸を正常にするために隣接関節特に足関節を不良肢位に固定するということはせずに観血的治療に切り変える方針である.
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