論述
関節疾患とTryptophan代謝
猪狩 忠
1
,
土沢 正雄
1
,
鳥羽 義紀
1
Tadashi IGARI
1
1岩手医科大学整形外科学教室
pp.131-137
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905138
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Tryptophan(Try)はHopkinSおよびCole(1901)により発見されたアミノ酸の一つで,その代謝はindole核を有するアミノ酸特有の複雑でかつ特異的なpatternを示すとともに,生体でこのアミノ酸が必須アミノ酸として栄養上切な物質であることの他に,tryの代謝産物には多くの生物学的重要物質が存在していることが知られている.たとえばビタミンの一つであるニコチン酸,植物ホルモンであるインドール酢酸,chemical mediatorとして血収縮その他の重要な生理作用のあるscrotonin,tryptamineといつた天然に存在する誘導体で,try代謝系の関与により形成されると考えられる物質が少なくない.またtry代謝には多くの酵素,補酵素の関与が必要とされる,つぎに関節内Serotoninについては,histamineなどとともにその生体内合成については,関節滑膜の組織マスト細胞との関連において考慮されるべきであり,更にアレルギー反応の立場からも論議の対象となる物質で,その点からも関節疾患を扱う者にとつてtry代謝は重要関心事である.
このようにtry代謝については基礎医学,薬学はもちろん臨床医学の多くの分野において,数多くの研究がみられるようになつてきた.
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