シンポジウム 変形性股関節症の手術療法
筋解離術と骨切り術の手術成績の比較検討
奥山 繁夫
1
Shigeo OKUYAMA
1
1横沢市立大学医学部整形外科学教室
pp.557-569
発行日 1974年7月25日
Published Date 1974/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905016
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はじめに
股関節全置換術が広く行なわれるようになり,その効果が確実に期待しうるほど安定してきている現在,われわれは従来その治療に手をやいた老年者の重度の股関節症に対しては有力な武器を持つているといいうる.しかしながら新しい武器を持つと使つてみたくなるもので,次第にその適応がエスカレートし,最近の海外の報告をみてもきわめて短期間に驚くほど多数例に本手術が行なわれており,このような傾向は本邦においてもないとはいえず批判的な意見も既に出はじめている.一方われわれが取り扱う機会が多い臼蓋形成不全にもとづく青壮年期の股関節症に対しては種々新しい試みがなされてはいるが未だその評価の段階ではなく,その治療法の選択に苦慮しているのが現状であろう.このような背景のもとに,従来からの数多くの報告によつて確実な効果が立証されroutineな方法となつている転子間骨切り術ならびに筋解離術の手術成績を比較検討し,それぞれの特色を把握すると共に成績不良例について反省することも意味のあることと考え,さらにこれらの手術法が変形性股関節症に対する観血的治療体系においてどのような役割を担つているかについて見解を述べたい.
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