臨床経験
骨頭骨折を伴つた股関節後方脱臼7例について
武智 秀夫
1
,
角南 義文
1
,
坂手 行義
1
,
藤原 紘郎
1
,
尾上 寧
1
Hideo TAKECHI
1
1岡山大学医学部整形外科学教室
pp.502-507
発行日 1974年6月25日
Published Date 1974/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905007
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まえがき
外傷性の股関節後方脱臼骨折は,いわゆるdash board injuryとして最近モータリゼーションの普及とともに多くみられるようになつた.本外傷は股関節の後方脱臼に臼蓋後縁の骨折や,臼蓋底の骨折を合併するもので,その型は種々ある.しかし脱臼と同時に大腿骨骨頭の骨折をともなつたものについての報告は,Stewart & Milford9),Thompson & Epstein10),Armstrong1),Waller11),Epstein2)の報告をみる程度で,その治療法や予後について詳細ははつきりしていないように思える.わが国では松原の報告した外傷性股関節脱臼162例中骨頭骨折を合併したものが33例あるのが最も多いものであろう.
私どもは最近6年間に,岡山大学整形外科関連病院で7例の骨頭骨折を合併した股関節後方脱臼を経験した.これらの症例をもとに,その経過,治療法などについて,いささかの考案を加え報告したい.
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